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霜月 | |
きざはしの一段ごとにある秋思 ざはしの阿吽のはざま寺紅葉 茶の花やダム放水の白き音 冬立つや足湯に使ふワンコイン 走り根にとどまる日差秋うらら 神の留守間違ひ電話きのふけふ 擦れ違ふ人の目礼木の葉舞ふ |
散策の音きざみゆく落葉道 走り根の刻む百年木の実降る 天高し鴟尾跳ね上げて葵紋 白息を集めて磨く今朝の窓 山門へ誘ふ石段薄紅葉 行く秋や森に佇ちたる芭蕉句碑 冬ざれや路地より生まる風の道 |
師走 | |
枯草も礎あとも廃寺跡 境内の銀杏落葉に知る広さ 一塊の枯草をして古墳群 風ごとに空を広げし落葉かな あれこれで通じる話日短 靴弾む帰路の参道七五三 指すこし触れれば割れて初氷 |
寄鍋の席に右利き左利き 初霜や野路に置きある忘れ鎌 短日や村に一つの停留所 初霜や日差し届かぬ手水鉢 冬の雨固く閉ざせし鯉の口 狭庭とて日向のあるる冬の蝶 散りつぐをためろうてをり後落期 |