一月・二月・三月

      四月・五月・六月
      NEW
      十月・十一月・十二月
 文月
     相づちでことたる話古団扇

     采配の声伸びきって大団扇

     大夕焼水のかれたるポンプ小屋

     女とや方向音痴日輪草

     無為といふ一日のけじめ水を打つ

     沙羅落花水琴窟の音白し

     もう来るともう来る頃と水を打つ 
  
       みづうみのほてり鎮めて夕焼ける

       づかと来て向日葵畑の迷路かな

       しんがりの背に団扇の男伊達
   
       朝顔の届かぬ高さ日の高さ

       小走りで飛び越す小川露涼し

       打水や静寂に戻す地の匂ひ

       沙羅咲いて今は昔の秘密基地

   
葉月
    鳳仙花 舟板塀の屋敷跡

    一掬の水おごそかに墓洗ふ

     望郷に揺らぎし想ひ稲の花

    秋めくや手打ち蕎麦屋の大玻璃戸

    吊り橋の高さ涼しく揺れにけり

    見晴らして千の青田に千の風

    夏休机に鍵の穴ひとつ
  
   難問のようやく解けて鳳仙花

   墓参上手く灯せぬ燐寸の火

   地蔵盆 路地に積みある袋菓子

   秋めくや雨音しみる路地の奥

   再会を約し別れの夏座敷

   引き波の模様幾重に月見草 

   久闊を叙する大声夏座敷
長月
   対岸へ飛ばす口笛水澄めり

   留守電にゆだねし居留守蚯蚓鳴く

   穂の先に風のあるらし赤とんぼ

   来客の会話をつなぐ鉢桔梗

   遮断機の鈍き明滅虫の声

   赤とんぼ棚田一段ごとに群れ

   葛の花村を見下ろす
  
   一山を映して水の澄みにけり

   水澄むや村里つなぐ沈み橋 

   ふる里のごとき庭先赤蜻蛉

   蒼天へとどかぬ高さ秋の蝶

   携帯の文字は大きめ敬老日

   撫子や人目につかぬ透かし文字

   秋灯下季語には多き難漢字

                                            
ホーム

写真俳句  ミニギャラリ−   俳句手帳   プロフィール  海外旅行
   
inserted by FC2 system